人生で遭遇するありとあらゆるモノに対して嘘をつく仮面ビトのお話¦


 僕は何者なのか、俺自身にもわからない。何故なら、そこには虚無しかないからだ。
 責任のセの字も知らぬ頃、見栄っ張りの中に気がついたら嘘を口走っていた。成長するにつれ、私は自分の身を守るために嘘をつくようになった。他者評価と自己評価を合わせるため、そして自分の逃げ道を作るための手段として。

 この仮面は今も被り続けている。この空間に溺れてしまった自分には今更剥がすことなどできない。自分にさえも嘘をつくようになった僕の中身は、既に空っぽだった。

 俺は本当の俺を知っている。知っている。しかしこれを私の口から話すのは酷く残酷なものだ。

 嘘つきが癖になり当たり前になってしまった頃には既に正直を忘れていた。そんな僕の本当は黒い黒い人形だ。僕はいつから怪物になったのだろう。しかし元に戻ろうなど思わない。元に戻ったところで、自分には耐えきれない苦しみしか残されていないから。

 真の意味を捉えられるようになったら、私は何を得られるだろうか。

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