2018.07.22 01:20生死を共にする花を持つ人たちのお話¦ 我々は生まれた時に一人一輪、天から花を与えられる。その花は一人ひとり違う花で、どれをとっても同じものは存在しない不思議な花。人々はそれを祝福の花と呼び、我々はそんな一心同体となる花を肌身離さず持っている。 ある恋人が心からの想いを伝える大事な日に自分たちの花を互いに交換しようとした。自分たちの花を相手に渡そうと手を離した瞬間、すっと二人の時が止まった。 離した...
2018.06.06 14:20人生で遭遇するありとあらゆるモノに対して嘘をつく仮面ビトのお話¦ 僕は何者なのか、俺自身にもわからない。何故なら、そこには虚無しかないからだ。 責任のセの字も知らぬ頃、見栄っ張りの中に気がついたら嘘を口走っていた。成長するにつれ、私は自分の身を守るために嘘をつくようになった。他者評価と自己評価を合わせるため、そして自分の逃げ道を作るための手段として。 この仮面は今も被り続けている。この空間に溺れて...
2018.05.07 03:30空の色が全員違って見える世界のお話¦ 空を見上げる。僕の目に映る空は青い蒼い透き通る空だ。 空を見上げる。私の目に映る空はオレンジに薄いピンクが混じった暖かい空だ。 ある日、あの子が遠い目をして空を眺めていた。声をかけようとあの子の前に立ったが、その目はまるで僕を見ていなかった。不安を覚えた僕は、彼女の手を包み込むように握った。 すると僕の見える世界が一瞬にして変わった。黒い霧がするすると青い空を...